twitter レファレンス?

twitterと図書館の海外動向

twitterはコミュニケーションツールの一種として,メールやIMと同様に図書館のレファレンスサービスのインターフェイスとして使えるんじゃないか,とかつらつら思ってた。
で昨日del.icio.usあたりで海外の図書館動向をぼーっと見ようとしたら「twitter」の語句が目に入る。


調べてみると,公式のtwitterアカウントを持ってる図書館はすでにいくつもあるらしい(最新の状況はhttp://www.davidleeking.com/2007/05/09/twittering-libraries/から)。今のところは図書館のイベントのお知らせとか新着の本とか,要するに図書館のお知らせをRSSでやってたのをそのままtwitterにもっていった感じ。たぶんrss2twitterとか使ってるんだろう。


で,図書館とtwitter関係の記事の中で比較的注目されてるのを見ていく*1と図書館系ブログで取り上げてるのもあった。そのうちの一つをざっと読んでみる。

レファレンスサービスとtwitter


読んでみたのはこれ。
Digital Reference: Reference services and Twitter


比較的最近だったのと,twitterを使ったレファレンスという興味深いテーマだったので。全訳するほどの内容ではないので簡単に概略を羅列すると,

  • twitterをレファレンスサービスに使えないかつらつら考えた。
  • twitterについての簡単な概説を説明する
  • twitter使ってる図書館を調べてみた。お知らせとかを配ってるのが多いみたい。
  • twitterで図書館のニュースを見るのはいいけど,電話とかにメッセージとばさせると金かかるよ? って釘差し(日本でいうならパケ代の話)

あたりを前フリとして,以下のような流れで使うのを提案してる。

twitterを使ったレファレンス・案


(図書館でRSSによる通知とかをもうやってる場合)

  1. ユーザーがIMやらMailやらtwitterやらを通じて図書館に質問を送る。
  2. 図書館がそれを受け取ってそのまま回答する。同時にデータベース*2に登録(個人情報はもち抜いて)してよいかの許諾をとる。
  3. 許諾がとれてたらデータベースに登録して,そこからRSSを吐かせて,ついでにtwitterにも登録する。


RSSとかのサービスが揃ってないとこの場合)

  1. 図書館のサイトでTwitterサービスの告知をする。
  2. 利用者は図書館のアカウントをFriendにして,Twitterを通して各種の質問をする。ちなみにこれは個人情報の管理がろくにできてないので注意をすること。できればダイレクトメッセージでくれてもいい。
  3. 図書館はTwitterのダイレクトメッセージで利用者に回答する。


まあ要するに,従来のメールやIMでのレファレンス(アメリカでは発達してる。日本はまだまだ)にプラスした手段としてtwitterが使えないか,ということ。


記事では「二番目の方はちょっとプライバシーの問題があるなあ。それにどっちも不器用な気がする」とやや慎重。

感想


プライバシーについては記事のコメントでもGather No DustのJeff氏が「プライバシーなんて気にしなくていいYO! そんなことは利用者が好きにすることだよ! あんたすごいよえらいよ!」的なこと*3を言ってる。自分も同意見で,そもそもメールだってIMだって対面だって第三者が盗み見る方法はあるわけだから*4,そんなことにこだわるよりも利便性を優先して利用者の判断に任せる,ってのが真っ当だと思う。


むしろ自分が気になるのは,上記の提案でやってるのは結局IMやメールの代替としての域を出てないコミュニケーションや,RSS配信の代替としてのお知らせやレファレンス記録の通知に過ぎないのですよね。なにか新しいサービスを打ち出せてるわけじゃない。
そこがつまらない。記事でも不器用(seem a bit awkward)つってますね。


利用者の方からみても,すでにIMやメールでの問い合わせに対応してるなら,それ以外の方法で図書館とコミュニケーションを取る必要性はあまりない。もちろんtwitterがそれらより便利というならありなんだけど,単純に人と話すツールとしてはそれらより利便性は低いだろう。また言うまでもなく,上記のツールよりもtwitterは普及してない(=使用できるユーザが少ない)。使われないサービスを打ち出しても自己満足に過ぎない。


せめてtwitterだからこそできる図書館サービスのかたちがあればと思うんだけど。
たとえばどこかの図書館のアカウントをアクセスポイントにして利用者との対応はそこが担当し,調査に関しては複数館が協同して各館の資料を用いてレファレンスをする……ってそれはQuestionPointか。日本だとレファ協? 簡易QuestionPointとしても……使い勝手悪いよなあ。twitterレファレンスは難しいかもしれない。


natu_nさんのアプローチ(http://twitter.g.hatena.ne.jp/natu_n/20070507/1178534618)もけっこう面白いのだけど,やはり現状では実験的なんだろうな。そもそもtwitterを導入しててかつその図書館を使用したい利用者って割合としてはかなり少ない。現実的な対応としてはやはりメールOPACかなと。メールサーバ立てないといけないのがめんどいが。


ああでも,逆にいえばtwitterを利用した素晴らしい図書館サービスをいま日本で打ち出せれば,珍しくアメリカに勝てるかもね(ぁ あっちもまだまだ発展途上のようだし。

*1:http://del.icio.us/tag/libraries%2Btwitterを見る

*2:レファ協の背後にあるようなものを想定してもらえればおk

*3:意訳というかイメージ訳

*4:暗号化すらしてないメールで普通に個人情報やりとりしてるからなーw