随想。

同人誌図書館考察,仕切り直し。

とりあえずこれまでは思いついたことについて調べて掘り下げてたんだけど,結局のところ何を考えたらいいのかというところが曖昧なままだった。なので今回は今後考えなくちゃいけないことを羅列してみる。

  1. 同人誌図書館の目的・方向性
    • 同人誌の保存を重視し,研究的な目的での利用を前提に考えるか
    • 同人誌の利用を重視し,娯楽的な目的での利用を前提に考えるか
    • どちらかの利用に限定するわけではないが,どちら寄りでサービスを行うかは重要な点
    • コミケの理念にそうような形であれば望ましい
  2. 資料論:図書館資料としての同人誌の特性
    • 保存性とか形態とか流通の仕方とか。
    • 同人誌は図書なのか雑誌なのか。
    • コミケで売られるような)同人誌の特徴
    • 資料の特性を理解しないことにはそのための図書館は成立しない
    • 出版物以外の見本誌(CD,グッズ*1等)の扱いはどうするか
  3. 経営論:同人誌図書館はどのように運営されるべきか
    • 運営主体
    • 経済的な問題
      • 予算の確保。
      • 有料か無料か,有料ならどこまでが有料か
      • それとも寄付金を頼りにするべきか
  4. 設立に関わる諸問題:どのような問題があるか,どのような解決が考えられるか
    1. 法的問題
    2. 心情的な問題
      • コミケ参加者に対する心情的問題
        • 自作の同人誌を図書館で公開することへのさまざまな心情的な問題をどのように解決すべきか
      • 外部に対する心情的問題
        • 同人誌に対する外部のネガティブなイメージにどう対処すべきか
        • 特に公的機関への寄贈という方式をとる場合に,これは大きな問題になる
    3. 設立した場合の社会的な影響
      • 社会,市場,文化等への影響。
      • 悪い影響はもちろん,良い影響についても
      • 同人誌市場についての影響はid:sinjowsさんが考察するとか
  5. サービス論:どのようなサービスを行うか。行えるか
    • 法的・経済的な問題とからみ,可能なサービスと不可能なサービスがありうる
    • 閲覧(館内で同人誌を読むこと)は前提。
    • 児童ポルノ法等で閲覧することに問題のある同人誌を制限するべきか。
      • 制限する場合,マンガ史上で重要なな著作が利用できないのではないか
      • 制限しない場合,運営自体に支障はないか
      • コミケの理念からいえば制限しないべき?
      • しかし,まず場がなくては,というのもコミケの思想?
      • これとは別に,入館時に年齢制限などを行うか,という問題も
    • 館外貸出を行うか
      • 行う場合,保存上のリスクをともなう
      • 個人への貸出を行わないとしても,図書館等への貸出は?
    • 複写は行えるか。
      • 行うためには著者の許諾を得るか,著作権法でいう「図書館等」である必要がある。
      • また複写できる場合,著者の心情的問題に関わる。
      • 複写できない場合,研究的な利用に障害が出る
  6. 資料組織論:同人誌をどのように管理するか。
    1. 分類
      • 一般の図書館の分類法(NDC等)はおそらく機能しない
      • 独自の単館分類法が不可欠
      • コミケのジャンルコードをふまえたものが望ましい
    2. 件名
      • 仮に出納式をとるのであれば,主題分類よりも件名付与の方が有効かも
      • 作品名はもちろん,キラ×アス/アス×キラみたいな件名もありうるか
    3. 目録
      • 目録法は一般のものと大きく変える必要はないと想像
      • 目録の情報源として見本誌票が有効に利用できる。電算化されていればなおのこと
      • 著者名典拠などの点で困難があるか。たとえばサークル名等の変更。
      • 注記にどの回で提出された見本誌であるかの情報が欲しい。
    4. 配架
      • どのように各同人誌を並べれば利用しやすいか(開架式,出納式とも)
      • ジャンル別か,サークル名順か,あるいは参加した回で分けるか
  7. その他
    • なんかあるかな?


んー,とりあえずだいたいこんなところかな? 「出来てから考えろよ」とか言われそうなのもあるかも;

*1:[2006-10-04 19:50 追記] id:kokkuri氏から指摘があり確認のうえ修正。少なくとも現在は「冊子状の物,CD・ビデオ等の電子メディア」が提出対象とのこと(「Comiket Press」24, p.15)。ただし,カレンダーやカードゲームはイラスト集として例外的に提出の義務。考えなければいけない範囲が減ったのはよいのだけど,怪しいグッズ類は保管されてないんだなー,と思うとちょっと寂しい。あと,電子媒体の問題は依然残ってますね。