専門資料の寄贈の事例

以前に日本考古学協会の図書室があふれてるなんてので気になってたのだけど,ついに里子に出すことが決まったらしい。


意見を求めます・・・・協会所蔵図書の取扱い 及び報告書等の受入れに関し今後のあり方について
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaa2/proceedings/shozotoshomondai.htm

〈方針案〉

1. 今後、遺跡発掘調査報告書等の収集は行わない。
2. 現有蔵書(市立市川考古博物館及び民間倉庫に保管分)については、一定の条件を付して、公的施設に一括寄付する。
3. 上記の寄付先は、公募する。


この件にかんして,ACADEMIC RESOURCE GUIDEさんで考古学専門図書館の設立を提案され,Copy & Copyright Diaryさんが賛同してる。個人的には専門図書館もよいが,やはりすでに存在している図書館などを頼ってくれてもいいんじゃないかと考えてる。国立歴史民俗博物館あたり千葉で近いしいいんじゃないかと思うんだけど(あっちも苦しいかなー?)。あそこはちゃんと管理してるし*1複写サービスにも対応してて文献複写を受けられたはず。もともと考古学資料はたっぷりあるし。下手に専門図書館つくるより安心な気がする。


で,気になったのはむしろ Copy & Copyright Diary さんで紹介してる以下の件。

かつて、日本化学会が収集・保管していた資料を神奈川県立川崎図書館が受け入れたということがありました。

日本化学会所蔵書籍の移管先について(ご案内)/日本化学会

http://www.chemistry.or.jp/library/ikan-kawasaki.html

このような形で、誰もが利用できるような所蔵機関ができることを望みます。


具体的な内容については,受け入れた側の神奈川県立図書館協会の協会報に詳しい。


協会報 No.198
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/kla/kyoukaihou/198/kyoukai019801.htm

(社)日本化学会からの寄贈
 今年の6月、(社)日本化学会(わが国最大の化学学会)から洋雑誌約140タイトル、洋図書約800冊等(同図書室が所蔵している紙資料ほぼ全てである)が寄贈された。やはり同学会の図書室再編によるもので、実現に至ったのは、同会図書室と当館の両方を利用されている方の情報に基づき、即座にアプローチをしたことによる。単なる寄贈と違うのは、同会会員が利用する際の配慮、独立したスペース、一部の雑誌については引き続き当館で受け入れるなど、以前の機能をある程度継続的に保つ点であった。専門分野に詳しい利用者に使われていた資料群であり、まとめて受け入れる価値は大きい。


この資料群はのちに「外国化学文献コーナー」として公開された。厳密な名称はよくわからないが,資料のある県立川崎図書館では現在「化学文献室」として紹介されている。
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/riyou/kwsk_b1f.htm

Webcatに所蔵を載せているので大学図書館などから利用しやすいし,国会図書館のように自宅へ複写物を郵送するサービスもあるらしい。この図書館は以前より特許資料を集めるなど,ビジネスや学術支援的な傾向があったので,日本化学会の要望は渡りに船だったのかもしれない。
このコーナーは当然図書館の一室なのであるが,寄贈を受けるにあたって県外の研究者の利用もOKにしたりといろいろ便宜をはかっている。これまで化学会でとっていた雑誌も一部継続受け入れするなど,なかなか配慮が行き届いてると思う。


で,何が言いたいかというと,コミケの見本誌なんかもこういう感じで平和的で便宜の整った寄贈ができないものかなー,という話。まあこっちは量が量なんで*2,県立クラスでもちょっと厳しいかもしれないけれど。
こういうのは,寄贈する側と受ける側の利害が一致してないといかんのでしょう。日本化学会はよい例。日本考古学協会のもよい例になってくれて,ついでに同人誌もいつかよい方向に転がってくれるといいのですが。こういう寄贈とかってやっぱダメなんでしょうかコミケスタッフの皆様。*3

*1:こんなふうにOPACが公開されてるくらい

*2:少なく見積もって100万だからねえ。コミケットプレスとかで一回に出る見本誌の量,みたいなのが載ってたけど,サークル数より一割二割多いぐらいに見積もってたな。もうちょいいくかも

*3:まあスタッフがOKでも受け入れ先が見つかるかは謎だし,さらには著作権児ポ法のからみもあるし。難しいなあ