“図書館と”図書館員が極めて重要である33の理由(訳):23〜33

前回,前々回の続き。
原文は以下。

33 Reasons Why Libraries and Librarians are Still Extremely Important
via 図書館員は時代遅れか?図書館員が極めて重要である33の理由

さあラストであります。一気にいきますよ。

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23. インターネットは混乱です。
(The internet is a mess)

「インターネットはあまり図書館とは似てませんよ。図書館は簡潔で標準化された,使い勝手のよいリソースのセットを提供するのですから」とあるプロの図書館員サイトが書いてたね。
ちょっと好戦的な発言だけど,前提は正しいと思うよ。検索エンジンWikipediaがあっても,インターネットはあいかわらず複雑なんだ。あいもかわらず,信用できるかわからないようなページがたっぷり検索結果に出てくる。
これ自体は別に悪くないよ。何が引っ掛かるか分からないWebの海はエキサイティングだね。でもさ,ちゃんとプロのスタッフによって注意深く論理的に整理されたリソースを使いたいっていうのなら,図書館は最善の策だよね。


→インターネットもいいけど,ちゃんとした調べ物には図書館をどうぞ。


コメント:再び玉石混淆論。まあでも膨大な検索結果については事実かな。インターネットと出版の比較でなく,インターネットと図書館の比較なら玉石混淆論もあながち間違っていないかもしれない。でも図書館にもろくでもない本はたくさんありますけどね。
Wikipediaなどの試みがもっと深く広く進められれば,かつて図書館がやっていたような本の索引付けの作業もソーシャルに進められる機会が増えていくと思う。この優位はあくまで過去の積み立てであって,時間と技術によって覆される可能性がある。あと有料の百科事典検索サービスの登場も図書館の担っていたサービスの一部分を切り崩していく気はする。*1
もっとも,少なくとも現時点では有力な理由の一つに数えていいかな。もっとも,使い方がわからないとその「論理的に整理されたリソース」って奴も検索エンジンと大差ないんですけどね。*2


24. インターネットは操作を受けることがあります。
(The internet is subject to manipulation)

GoogleSEOとかでかなり情報の操作を受けるよね。役に立つ情報が見つかることも多いけど,変なのが引っ掛かるのも多いよ。
図書館のインデックスにはそういうのはないね。ちゃんと出版されてて高品質なのを選んでるし。
そもそも図書館はあんまり経済性で操作されたりはしないよ。Googleはちょっとした広告ですごい収益あげてて色んな人が群がってるけどさ,図書館ではこういう圧力はほとんどないね。だから企業なんかの好きに情報の提供が歪められるなんてことは,あんまり考えなくていいんだよ。


Googleは儲かるからあちこちの人がいじろうとするよね。図書館はそういうのないよね。図書館の方が安心だと思うなあ。


コメント:まあ図書館は儲かりませんから(ぁ ただ,金銭とかとは別の次元での情報操作はありえますけど。偏見だったり思想だったり。Googleについても「そういうもの」だと思えばそれほど大きなバイアスにはならないように思えます。


25. 図書館の収集では,引用による,よく定式化された方式を採用しています。
(Libraries’ collections employ a well-formulated system of citation)

図書館にある本や雑誌は,厳格な引用と精度のガイドラインの下に出版されて,図書館のコレクションに収まる。
こういう標準化された形式はあんまりWebサイトでは出てこないね。ちゃんと引用しなくても検索結果には出てくるからね。Webリソースの精度も研究して測ろうと思えば測れるんだろうけど,やっぱ時間がかかるなあ。その点,図書館は研究を効率的にするよね。


→引用分析はすごいよ! 図書館はこれをやってるから便利だよ!


コメント:「引用された」かと思ったら,引用分析による資料評価の使用についての話でした。まったく,書き方が下手糞で文献を特定できない引用がどれだけあるか(何
WWWのリンク構造自体が学術論文の引用システムを参考にしたものなんだから,この点については言う必要ないんじゃないかなと。アンカータグを使う,という行為がすでにしてWeb上の「標準化された形式」ですからね。
そしてGoogleページランクは,彼のいうような引用分析を基本とするページ評価システムです。まあでもそのGoogleも引用分析だけでは前項でいうようなCEOの被害を受ける関係で色々な仕組みを加えてるんですが。


26. インターネットから簡明な情報を取り出すことは困難です。
(It can be hard to isolate concise information on the internet)

健康相談とかお金の話とかはWebでもよく見かけるけどさ。もっと特殊な分野の良質なサイトなんかだと,Googleでも必ずしも示せるわけじゃないよね。
この点,Wikipedia はさまざまな専門分野をフォローして,Webの簡潔さを向上させてる。でもWikipediaも一つのサイトに過ぎないからね。誰でも編集できるし,本当かどうかもわからないんじゃない? 図書館だったらもっとちゃんと索引付けされた研究資料のコレクションがあるよ。


Wikipediaもいいけど,図書館はもっといいよ!


コメント:今度の敵はWikipediaらしい。まあ本気でマイナな分野だと,Wikipediaに不十分なことが書いてあることは珍しくないですね。自分もIIB*3の更新のためにあちこちの資料をあたってると,Wikipediaにない記述はかなり見かけます。まだまだ限界はありますね。
まあでも,見かけたら自分が直せばいい話なので*4Wikipediaそのものは良いサービスだと思いますよ。あえて図書館と比べても。
あ,でも,Wikipediaをどれだけひっくり返しても載ってないことが,図書館に並んでる基本的な事典にしっかり書いてあるってことは,わりと珍しくはないですよ。Wikipediaは手軽ですし,そんなに間違ったことばかりが書いてあるわけでもないですが,本気で調べたいときは図書館にいかないとダメです*5


27. 図書館は「本を読む経験」を確保しています。
(Libraries can preserve the book experience)

ロシア思想史の900ページを読み切るのは,本についてのなかなかユニークな体験だと思うよ。本は学術的な専門分野の,包括的で集中した研究を提供するのが得意だね。
一方インターネットで見つかる情報は,やっぱり小粒なのが多いし,いまいち粗略だね。そりゃ知識は見つかるかもしれない,でも数百のページを読んだときのような経験はネットじゃ難しいよ。書架はやっぱり残さなきゃね。学習するさいにこうしたやり方はできないといけない。伝統的な方法は,新しい方法と並んでこれからも残っていくさ。


→本を読む経験は,ネットで情報を見つけるのとは全然違うよ! ちゃんと本を読めなくなると不味いよ! 図書館は残さなきゃいけないよ!


コメント:内容としてはkatz3氏のこのへんの趣旨に近いだろうか。これは同意。Webはある程度まとまった研究を腰を落ち着けて読むには向いていない。この点からいって,紙の本が残らなければいけない分野というものはあるだろうし,紙の本を扱う以上は図書館の存在価値が認められる。今後の電子書籍インターフェイスが想像できないほどに快適なものになる,という可能性もないではないけれど,こうした点について紙の本の優位があるとするのは,まあ理に適ってますね。
“本を読む経験(the book experience)”というのはちょっと面白い考察かもしれない。長い本を読み切るのは,なんとも言い難い貴重な体験だと自分でも思う。思想形成とかそういう点で,ああいった体験をもっていないことは,何かしらの弊害を生むような気もするかも。まあそれはそれで生きていけるだろうけどさ。


28. Web(上の情報)は一時的ですが,図書館(が保存する情報)は堅固です。
(Libraries are stable while the web is transient)

前記したようなGoogleをダメにするスパマーたちをはじくために,彼らは日夜努力してるよ。でもさ,そのおかげでちゃんとしたサイトも巻き添えをくってたりするんじゃないかな?
それにWebサイトはつながらなくなったりアドレスが変わったりするじゃない? デッドリンクは簡単に起こるよ。そしてそのままろくに更新されないサイトも多いよね?
図書館はそんなことないよ。いつだって手に取れるストックが用意されてるし,確実に信頼できる検索結果を出せる標準的な目録規則もあるからね。


→Webの情報はすぐあっちいったり消えちゃったりするけど,図書館の本はなくならないよ!


コメント:まあよく言われる批判。Webは安定的でないという話。ただまあ,図書館の本だって無くなることはあるわけだし,「どこかの図書館にはあるよ」というような分散収集についても,それを言ったらP2Pのネットワークで保存しまくればいいじゃない,という話なわけで(いや,新聞社とかがさせませんけどね)。
アナロジーとして考えるのなら,Webの情報はすぐ消える(変わる)というのは必ずしも本質的な話ではないな,と自分は思ってる。要は,時代を超えてWeb上のデータを保管するInternetArchiveのような機関があまり一般的でない,というところに問題があるんだよね。本には図書館がいるのにさ。
国会図書館のWebページ収集事業とかが未だに足踏みしてるのがいかんのよ。というか,バックアックのための複製・公衆送信ぐらいは法的にも黙認されていいと思うんだけどなー。*6
ただ,趣旨そのものは典型的な意見であるので,まあ一応の理由にはなるかなと。


29. 図書館は,ニュース収集とそのアーカイブにおいて,非常に役に立ちます。
(Libraries can be surprisingly helpful for news collections and archives)

ニュース記事を集めることに関しては,図書館はインターネットにかなわないな。これはさすがに。オンラインのテレビにラジオに新聞記事。ブログでの言及や世界中の出来事についてのコメントについては言うまでもない。見出し読みからニュース中毒まで,誰でも飽き飽きするほど揃ってるよね。
図書館は,っていうと,新聞を買って並べて,古新聞を保存しておくだけ。この労力は瞬時に無数のニュースへのアクセスが起きるネットと比べて物足りないかもしれないね。
んでも,まあ図書館のニュース目録にはそれなりの利点があるんだよ。まず,依然としてほとんどの刊行物がオフラインで存在し続けてること。誰かがある記者のある記事を探すとしたら,図書館はわりと良い選択肢だと思うね。まあILL*7に頼ることになるかもしれないけど。
それにオンラインで見るのが有料な記事ってのもあるじゃない?*8 ああいうのは自分で買うか,でなきゃ図書館で読むしかないよね?
それに,記事が消えちゃったり,過去記事は有料だったりするのもあるじゃない(Googleニュースアーカイブサーチやってみた? あれ,探せるけど本文は有料なのがほとんどだよねー)。こういうのは図書館で探すしかないよねー。


→ニュース記事探しにも適材適所があるんだよ。図書館じゃないと探せないものもたくさんあるよー。


コメント:これについては試訳の段階でも書いていたとおり。少なくとも日本では,たった半年前の新聞記事を探すのでさえ,たぶん図書館の方が便利です。大手新聞社のほとんどが3ヶ月くらいで記事を消すし,都合が悪いと消すし,地方記事だと平気で上書きするし。たまに転載や魚拓を残してくれてる場合もあるけど,記事によってはこれもないケースがある。となると,図書館で新聞をあさるか,有料の新聞DBで検索するか。でもって新聞DBはちょっとした調べ物したいというレベルではかなり高価*9なので,結局はそういうのを契約している図書館で調べ物するハメになったり。
ただしこれは現実ではあっても,あくまで新聞社の事情によるもので,本質的な話ではない。むしろ利用者の便を考えるなら自在に新聞記事が検索できて欲しいし,資料保管の観点からも分散保存が望ましい。たった今図書館を使う理由にはなっても,数十年後に図書館が残される理由にはならないんじゃないかな?


30. 誰もがインターネットにアクセスできるわけではありません。
(Not everyone has access to the internet)

発展途上国や,合衆国でも貧しい地域では,まだまだ図書館へのアクセスが個人がまともな調査を行う唯一の方法だったりするね。インターネットが,図書館の不完全な代替手段にすらならなくなるかもしれない2つの理由があるよ。
第一に,オンラインへのアクセスは図書館へのアクセスより難しいことがある,ってこと。公共図書館に一つのコンピュータしかないとしても,ほかのアクセスポイントは彼らにはとても払えない額を請求してくるからね。
第二に,いざアクセスできたところで,貧しさのために技術的な教育がされてない彼らには,自分たちほど自在にはインターネットは扱えないってこと。


→貧しい地域の人々はインターネットにアクセスできないし,アクセスできても使いこなせないよ。彼らにはインターネットは無理だよ,図書館が必要だよ!


コメント:地域的に限定されるけど,まあこれはある。今の日本だとこういう事態はそんなにないかもしれないけど,アメリカあたりだとまだあるかもしれない。当然中国とかだとネットにつなげようがない人々(下手すると電気すら通ってない)が大量にいるしね。
まあでも,そういう地域において図書館の優先度ってのはどのくらいなのか,ってのは微妙。夕張市ではないけど,まず第一に食事や医療が来て,教育が出るにしてもまず学校だろうし(文字が読めないことには図書館も無用の長物)。
でも学校の次くらいには大事だと思うな。個人が蔵書をもてない環境でこそ,図書館は意味をもつのだし*10。んで,図書館にゲイツの寄付使ってインターネット端末を置くと*11。やっぱ図書館とインターネットは競争の相手じゃないやね。協調せんと。


31. 誰もが本を買う余裕があるわけではありません。
(Not everyone can afford books)

途上国では(インターネットだけじゃなくて)本もレアで高価だよ。賃金も安いから,本を買うのには彼らにしたら天文学的な費用がかかる。だからこそ,公共図書館が情報の民主化のために不可欠なんだな。
合衆国が流行のリーダーを気取るなら,技術の先進化とあわせて図書館の重要性も強調しなきゃね。図書館を無視して,本でなくブラックベリーを売り込むつもりだと,本もブラックベリーも持てない人々が置き去りにされてしまうよ。


→本を買えない人のために図書館があるよ! 図書館がなければ民主化が成功するわけがないよ!


コメント:上に書いたとおり。留保する点もあるものの,ほぼ同意。


32. 図書館は反知性主義を止める方策のひとつです。
(Libraries are a stopgap to anti-intellectualism)

ああ,インターネットが反知性主義だっていうわけじゃないよ。そもそも学術的なとこから始まるわけだし,たくさん学問サイトがあるよね。
でもさ,インターネットがあんまり早すぎるもんだから,インタラクティブで現場的なオンラインでの議論だけが価値のあるものだ,なんて考えちゃったりしない? 書架の上のほこりだらけの本が時代遅れに見え,その学芸員(図書館員)もまたそうだとか,そう思ったりしない? 本と読書はエリート主義で古くさいと思われがちかもしれない。ブログはあまりに現代的だからね。
でもさ,インターネットがすべてじゃないんだよ。本への,そして数百年をへた文化史の理論へのアクセスは,進歩に不可欠なんだ。これなしには先端技術もセンセーショナルだが後退している文化的傾向を皮肉るツールにしかならない。知識を蓄え,技術の限界を教えるために図書館を残しておけば,技術の新しさへの傲慢やナルシシズムを防ぐことができるよ。


→いくらネットが便利だからって,図書館が時代遅れだと思っちゃいけないよ。ネット的じゃないものも大事だよ。図書館は社会が変な方向にいくのを予防するよ。


コメント:温故知新と。どっちかというとメディア論の話になるのかな。要するに,ネットばっかりしてるとあんまりネット的じゃない(遅い,古い,インタラクティブじゃない)ものの重要性が忘れられがちだから,ネット的じゃないものも大事にしよう,という話。メディアがメッセージを変える,って言う意味では前述したマクルーハンがからむかも。
まあ古いメディアは結局衰退していくのが世の流れではあるのですが,どういう情報伝達のかたちがもっとも人間の知性を高めるか,ということを考えれば(つまり教育的効果か)図書館を留保する価値はあるように思える。
古い文献もネットにおけばいい,とはいうものの,ネット上にあれば結局ネットの論理にからめとられがちなんですよね(メディア論的には)。そのへんの色味をコントロールするために*12図書館が役に立つ部分もあるかもしれない。という点で一応は同意。


33. 古い本は大切です。
(Old books are valuable)

まあ上記のようにいろいろ理由あげたけどさ,それさえ納得できずに「図書館が“本の博物館”になる」なんて比喩が投げかけられることもあるよね。実際図書館員にとってそれは怖いよ。図書館がアナログレコードやタイプライターみたいな歴史的な遺物になっちゃうんじゃないか。現在のような調査研究のプロとしてじゃなく,博物館の学芸員みたいになるんじゃないか。あるいは,自分らの仕事を失うんじゃないか,ってね。
でもよく考えてみよう。図書館の未来が文化的なイベントやアイディアの交換のためのインタラクティブな集まりの場所になるとしても,文化的遺物の保存と展示は実際に重要な要素だよね? 実際,古い本はお金に換えがたい価値がある。本は,電子化によって失われてはいけない,文化的な,あるいは歴史的な記憶の一部なんだよ。


→“本の博物館”になるってのはご免だけど,それでも古い本の保存は大事なんだよ。図書館がどうなろうと,この点は忘れちゃいけないよ。


コメント:同意。
電子化さえすれば保管の問題も解決すると考える人もいるけれど,bookscannerさんがしばしば取り上げるとおり,電子化においてのコストの問題ってのは,本にまつわる記憶をどれだけ残すか,ってことに関わってくるんですよね。特に古い本については,それがどう装丁されてるか,どのような紙を使用しているかとか,そういうレベルでの情報も歴史的に重要になってくる。電子化すればこと足れり,というのではなく,純粋に「本の博物館」としての価値も図書館にはある。
もっとも,理念的にはともかく,図書館としての理想(利用のための保管)とこうした「保管のための保管」は,実務面では対立する課題となりうる。特に貴重な本について,博物館的に管理すべきか,図書館的に管理すべきか,っていうのは一つの争点になりうると思います。*13

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以上,33の理由をあげてきました。
いまいちな項目もありましたが,(特に後半は)わりとまともなことを言っていますね。これで十分か,っていうとまだまだな気もしますが,一つの叩き台としては面白い気がします。


で,ラストに結論を訳して〆としましょう。

結論。


社会には,まだまだ図書館を無くす準備はできてないよ。そして多分,これからもそんなことはないよ。


図書館は社会と技術の変化に適応できるよ。そして,図書館の役割が取り替えが効くものでもないんだよ。図書館はインターネットとは違うし,図書館員は学者や市民を,彼らにとってよりよい理解へと導くのに最も適した専門職なんだよ,たとえそれがオンラインで見つかる情報であってもね。


ほんと,たくさんの情報がオンラインになったよね。でも,まだ紙の上の方が多い。図書館が時代遅れだなんて言ってないで,州と連邦はスタッフと技術を改善するためにもっと予算をつけるべきだね。
デジタル時代を盲目に走るより,Web経済学による企業の感心ばかりによってガイドされるより,社会はちゃんとした道しるべを育てるべきだよ。今日,これまで以上に,図書館と図書館員は極めて重要なんだ。わたしたちの文化を保存し,そして改良するために,ね。

http://www.degreetutor.com/library/adult-continued-education/librarians-needed


自分には訳した33の理由のすべてが合理的な説明とは思えないし,合理的であるいくつかの中には,今後意味を失うものもあると思う。まだまだ論理的に図書館の今後の必要性を語れるほどの理解は正直ないのが本音だったりする。
とはいえ,実感として,図書館のような機関は,未来においても必要であると感じている。それは現在の図書館とは似ていないかもしれないし,図書館(Library)という名前で呼ばれてはいないかもしれない。それでも,いま存在するほかのものが達成しきれてないものを,現在の図書館が担っている側面はいくつか存在すると思っている。あるいは,図書館という形式だからこそ達成できる,いまだ何者も為し得てない何かがあるのかもしれない。それを理解し,育てることが,今後の図書館にとって大事なことなんじゃないだろうか。
とりあえず目指していきたいことは,少しでもより「役に立つ」図書館を育てていきたいということ。そして,図書館を良くしていこうという志をもって図書館の中でそれに尽力できる人のことをこそ,図書館員と呼べるんじゃないだろうか。自分には,こうした意志をもつ図書館員と,それによって育てられた図書館が不必要であるとは,とても思えない。

*1:利用者的には良いことなので大歓迎ですが。

*2:逆に言えば,使い方がわかればWebの検索エンジンでもある程度信頼できるリソースだけを探すことが可能。

*3:Index of Imaginary Beings。別サイトでやってる自作の“空想された存在”のデータベース。

*4:めんどくさがってしてませんが

*5:主題によってはWebのが強いですけどね。最近の出来事やIT技術,ネット上の事柄についてはインターネットに分がある。まあ臨機応変

*6:このへんの話では,妖精現実さんの「コピーさせないこと」に課金するのが合理的な理由「無断コピー以外」を禁止するライセンスが自分は好き。リンクじゃなくてコピーせよ,という話。

*7:相互協力。以前にも記事にした図書館間での資料の貸し合いのこと。

*8:日本じゃ最近はあんまりないですが,あっちはわりとあるらしい。ニューヨークタイムズとか

*9:朝日や読売ぐらいはともかく,日経は従量制なのでまじめに調べ物すると馬鹿高いです。

*10:これはどっちかというと31の趣旨ですが

*11:しかし,ゲイツのプログラムは端末と回線だけじゃなくてトレーニングまで考えに入れてるのね。「理由」にあがった2点ともフォローしてるじゃないか。さすが。

*12:はてブで紹介された資料と図書館で紹介された資料では,同じ資料でも見え方が違うとかそういう話

*13:もっとも,仮にまったく利用者に触らせない博物館的な管理であっても,「(未来の)利用者の利用を確保する」という図書館の理想とは必ずしも乖離はしないんですよね。この点からいって,図書館が管理するか博物館が管理するかってのは,結局どちら側に有能なスタッフがいるか,という個別のレベルの話になってくるような気がします。