図書館の理想?


このことを発見しなかったら今日の日記の最初に書こうと思っていたネタ。ただし同業者限定かも。


何かいいネタが無いかと同じく阿島氏の『漫画同人誌エトセトラ '82〜'98』(久保書店, 2004.09 isbn:4765900487)を眺めていて目についたフレーズ。

コミケの大定理>
コミケでは、あなたがこういうジャンル、ああいうテーマの本がないかと捜す時、その本は必ず存在する」(コミケには何でもある!もっとも捜しあてられるかどうかは努力次第)

コミケの小定理>
コミケでは、あなたがどんな本を作ろうと、それを買う読者が必ず存在する」(コミケじゃどんなものでも作れば買ってもらえる!ただしその読者があなたのブースの前を通りかかるかどうかは運次第)

前掲書 p.263 より引用。*1


阿島(米澤)氏はこの言葉について「確かにその通りで,コミケットは,何でもある状況が望ましい。それは,発見と驚きの悦びだ。過渡的な状況かもしれないが,コミケット,同人誌は拡散へと向かいつつある」と評している。これはコミケの理想であり,また実際にこれに近い存在であるといえる。


で,これにこれを並べてみる。

Five laws of library science*2

1. Books are for use.
2. Every reader has his or her book.
3. Every book has its reader.
4. Save the time of the reader.
5. The library is a growing organism.

「どんな人でも,読みたい本は探せばきっとある」→「いずれの読者にもすべて,その図書を (Every reader has his or her book.)」
「どんな本だって,買ってくれる誰かがいる」→「いずれの図書にもすべて,その読者を(Every book has its reader.)」

なんか似てない?


以前,Googleは上記の図書館の五原則に適ってるんじゃないかなんてことを考えたことがあったのですが,コミケも似たような存在なのかもしれませんね。まぁ,「読者の時間を節約せよ(Save the time of the reader.)」だけはまるでクリアできてませんが。*3

*1:というか又引き。原引用元は同人誌『幻の市街戦』(抽象企業, 1993)。なお,このサークルさんのサイトにも同様の掲載あり。

*2:ランガナタンの「図書館の五原則」。図書館業界の人は誰もが耳がタコになるほど聞いているバイブル。でも原本や和訳書をちゃんと読んだことのある図書館員がどれだけいるかは不明。

*3:いや,あの待機行列のテクニックは,もしや……?