コミケ見本誌の冊数試算


実際問題,コミケの見本誌ってどんくらいあんの? と思ったので調べる。残念ながら見本誌総数を出している資料は手元では確認できず。というか数えてあるのかどうかもわからん。サークル管理の電算化はしてると思うので,正確ではなくても概算の数字は存在するとは思うのだけど。


仕方ないので,すべてのサークルが一回のコミケにつき1点の新刊を出してるものと仮定して*1,これまでの参加サークル数の合計から見本誌の冊数を概算してみる。どこかで表にしてるものと思っていたのだけど見つけられなかったので,『コミックマーケット 30's ファイル』(有限会社コミケット,2005 isbn:4883791920)から数字をとりだして自分で作る(C67以降は公式サイトのアフターレポートから)。


開催年 回数 参加サークル数 累積
1975 C1 32 32
1976 C2 39 71
C3 56 127
C4 80 207
1977 C5 94 301
C6 100 401
C7 131 532
1978 C8 144 676
C9 200 876
C10 200 1076
1979 C11 218 1294
C12 330 1624
C13 290 1914
1980 C14 380 2294
C15 340 2634
C16 340 2974
1981 C17 400 3374
C18 512 3886
C19 600 4486
1982 C20 780 5266
C21 970 6236
C22 1060 7296
1983 C23 1200 8496
C24 1500 9996
C25 1550 11546
1984 C26 2400 13946
C27 2300 16246
1985 C28 3450 19696
C29 4000 23696
1986 C30 3900 27596
C31 4400 31996
1987 C32 4400 36396
C33 4400 40796
1988 C34 9200 49996
C35 8900 58896
1989 C36 10000 68896
C37 11000 79896
1990 C38 13000 92896
C39 13000 105896
1991 C40 11000 116896
C41 14000 130896
1992 C42 12000 142896
C43 15000 157896
1993 C44 15000 172896
C45 16000 188896
1994 C46 16000 204896
C47 16000 220896
1995 C48 22000 242896
C49 16000 258896
1996 C50 18000 276896
C51 22000 298896
1997 C52 33000 331896
C53 22000 353896
1998 C54 33000 386896
C55 23000 409896
1999 C56 35000 444896
C57 25000 469896
2000 C58 35000 504896
C59 23000 527896
2001 C60 35000 562896
C61 23000 585896
2002 C62 35000 620896
C63 35000 655896
2003 C64 35000 690896
C65 35000 725896
2004 C66 35000 760896
C67 23000 783896
2005 C68 35000 818896
C69 23000 841896
2006 C70 35000*2 876896


だいたい80〜90万冊程度の冊数が見込まれるらしい。冊数だけなら,だいたい県立図書館か中堅大学の図書館の所蔵クラスですねー。もっとも同人誌は大半が数十頁の薄い冊子であるので,かさで言えば通常の図書の10分の1程度だろう。空間的には,蔵書冊数10万規模の市立図書館クラスの量と考えればいいと思う(それでもすごい量だが)。


なお,本を単純に置いておくだけであれば空間的なコストしかかからないが,図書館のように閲覧の行える環境を整える場合は,さまざまな管理コストが発生する。たとえば長期保存に向いた環境におくこととか,保存に向かないコピー本などを改修する作業とか(ホッチキスの針やテープ類などは,長期的には紙に悪影響を与えます)。
また利用を前提にするのなら,どこに何があるのかをわかるようにしなければいけないし,そのためには資料の組織化,目録作成が不可欠になる。しかし,大半がかつて一度も図書館に所蔵されたことのないような本であるから,目録はすべて一から作成。目録なんてだいたい1日に何百もできるものではない。コミケスタッフの方でもある程度の管理はしているだろうから(でないと見本誌が提出済みか未提出かわからない)そのデータベースが流用できるとしても,ちゃんと管理するためにはそれ以上の情報が必要だろう。法的・倫理的・心情的問題を除けば,このあたりが一番コストがかかるのではないだろうか。


なお,コミケでは第一回から見本誌の回収を行っているらしい(前掲書 p.94)。なので第一回分から素直に足してしまってOK。もちろん当時は児ポ法等で取り締まるなどはなかったので,純粋に保存目的。まえに見本誌提出を「文字通りの検閲」などと書いてしまったのは失言だったですね。

*1:かなり乱暴な仮定。落としたとか2冊出したとかは誤差の範囲だが,時代やジャンルによっては発行タイトル数は大きく違うし(年間数十冊出したサークルもあるとか),ダミーサークルの問題もある。また「見本誌」は本の場合だけでなくグッズ類も対象だが,そのへん考えるとまた大変。あくまで作業上の仮定。

*2:数字はC70時の案内のページから。C70アフターレポートのページは見なかったことにしておいた。