ざっと目を通す。特に気になってる見本誌の説明の箇所。
すると,
●見本誌
サークルの発行物で、即売会に提出するための本。現状で見本誌回収を行っているイベントは、コミケットとコミティアぐらいである。即売会はこれを資料として活用しているが、本の置き場にはみんな頭を悩ませている。コミケットの見本誌は、千葉の倉庫にほとんどすべて保管されており、もしコミケットが何らかの理由で終わるようなことになれば、全て国会図書館に寄贈しようということになっている。でも、あんなにいっぱいもらったら、困るだろうなあ。
(『マンガ&アニメ同人誌ハンドブック (ジアス・ブックス)』,1994.1 - p.188)
の部分が,
●見本誌
サークルの発行物で、即売会の主催団体に提出するための本。そのイベントで売られたことのない新刊を一冊出す。現在で見本誌回収を行なっているイベントはコミケットとコミティアぐらいで、資料として活用されている、*1コミケットには将来的に同人誌資料館、図書館開設の予定があるらしいが、その量の多さ、運営方法などもあって、現実化はかなり先になりそうだという。その前にコミケットが何らかの理由で終わるようなことになれば、全て国会図書館に寄贈しようということになっている。困るとは思うのだが……。
(『新編 マンガ&アニメ同人誌ハンドブック (ジアス・ブックス)』,1997.1 - p.193)
になってる!
『同人誌ハンドブック―マンガ&アニメ (’95版) (ジアス・ブックス)』(1994.12)では前者の記述がそのまま使われているので,どうも1995年から1996年中にかけて同人誌図書館の案が出たか,あるいはそれを公的に認めた,ということらしい。
ちなみに『21世紀同人誌ハンドブック』(2003.07)では後者の記述に加え,コミティアの見本誌展示や読書会を紹介し,また「図書館開設の予定」が「図書館開設の希望」に,「現実化はかなり先になりそう」が「現実化には障害が多い」になっているほか,「倉庫何杯分もある」と量についても述べている。ただし大筋では1995年版からの変更はない。
以前に引用した文は,どうも拡大準備会や反省会時の米澤氏の発言のようだから,流れとしては
〜1994年 | 集めた見本誌は,いつかコミケが終わったときに国会図書館に寄贈。 |
1995〜1996年? | 資料館(図書館)設立案。「予定あり。現実化はかなり先になりそう」 |
2002年 | 「コミケ図書館を作ろうと思ったけど、概算出したら10億円くらいかかる」 |
2003年 | 設立案継続中。「希望あり。現実化には障害が多い」 |
2005年 | 「廃校を利用して同人誌図書館の構想がある」 |
2006年〜 | 現在。 |
という感じか。
もちろん,資料館案自体は1995年以前に出ててもおかしくはないけれど,少なくとも1996年には一つの公式見解として言えるだけの合意が出来てた,ということは言えるらしい。これが分かっただけでも安い買い物であります。*2